自分支援機構

10年後には黒歴史

漢文を久しぶりに学び始める

 こんにちは。支援機構です。社会人になった理系人がいきなり古典やら漢籍にハマり始めるの、非常にヤバいサインですよね。スピリチュアルなことを言い始めたり国家への帰属意識をこじらせてパターナリズムを信仰し始めたりする一歩手前といえます。もしかしたら私もそうなのかもしれないですね。

はじめに

 また今度それなりに長めの記事を書きますが、今年の10月から放送大学の情報コースに入学することにしました。情報科学に関してある程度真面目に勉強すると同時に学生の身分が欲しかったわけです。放送大学は入学の際に最初の学期で履修する科目も選択するのですが、選んだ中に「漢文の読み方」という科目があるわけです。入門的な科目だ(ろう)し、まあだいたい句法を一通りやっていくつか読む程度だろうと思っていたのですが、書店でテキストを読んだところそれよりは多少レベルが高い科目であることがわかったのである程度予習をすることにしました。
 予習と言っても何をしたらいいかわからないので、とりあえず高校(というか大学受験)でやるような漢文の内容をある程度復習しておくことにしました。それくらいしかやることが思いつかないし。そこでしかるべきテキストを探すところから意外と困難にぶつかることになります。

教材探し

 私は高校生の頃それなりに真面目に漢文(というか古典)を勉強していたので、どのように復習したら当時と同じレベルに戻れるのかわかっているつもりです。そこでわたしが用意すべきと思った教材は以下の3つです。

  1. 漢文の句形を一から解説した、いわば文法書とでも呼ぶべき教科書
  2. 句形(文法)の練習ができる問題集(1.に練習問題が豊富に載っていれば代用可能ではある)
  3. 実際の漢文を読んでいく問題集

そして書店で参考書を探したところ、2と3はそれなりに見つかります。しかしながら、1にあたる句形を真面目に説明したテキストがなかなか見つからないのです。大学受験向けに頻出する句形だけをまとめたテキストはあります。問題集もあります。でもなぜか一番基礎にあたる句形を一通り説明したテキストは市販で見つからない*1。どういうことなんだ。
 例えば、私が高校生(2010年代前半)のときに使っていたテキストは次のものです。

これは必要な句形をマイナーなものまで含めてきっちり例文と練習問題付きで紹介し、語彙や頻出漢字のリストなども含めた教科書として何の文句もない本でした。手放してしまったことが悔やまれる。この手の学校専売教材にありがちなことですが、この本も一般で購入することは難しく、買えたとしても練習問題の解答が付きません。販路とか取次の問題で一般書店に広く流通させるのが難しいのは理解できますが、注文などで入手する場合に練習問題の解答を付けないのは理解できません。この手の教材が学校教育で使われる場合、解答の入手性を悪くすることで教員の授業を聞かなければ学習ができないようになるため、学生は教員の授業で与えられる情報に依存して学習を行うことになり、結果として内容の質を問わず授業が成立することになります。そうした環境を求めた教員に媚びるためにこのようなシステムが存在しているのでしょう。くそったれ*2。教育産業に携わる者としての矜持はないのか。単独で教材として成り立たないテキストにISBNを付けて売るんじゃない!
 謎の恨みつらみはさておき、かろうじて私の条件を満たす書籍を見つけたので皆さんにここで大々的に宣伝しておきます。
詳説 漢文句法

詳説 漢文句法

この書籍は、いわゆる高等学校で購入させられるタイプの一から十まで書いてある情報量の多いタイプの文法書でありながら、Amazonで購入しても練習問題の解答がついてくるため完全に独習に用いることができます。訓読法の基礎、句法、語彙、文学史が手際よくまとまった無難で*3最高のテキストです。まだ全然読んでいないし漢文について専門的な知識があるわけではないので、実は間違いだらけかもしれませんが、その場合は未来の私がこの文章に加筆してくれることでしょう。まあ兎にも角にも文法書をゲット。
 文法問題集としては次の本を購入しました。適度な分量かつ詳しめの解説で取り組みやすい問題集です。これもぱっと見で無難で取り組みやすそうなので選びました。大手予備校の出版物に大ハズレはあまりないという経験則を信じます。
 最後に問題集ですが、これもやはり大学受験(高校生)向けのものを選びました。だってそれしか選択がないし。今回選んだのはこれです。
難関大突破新漢文問題集 (駿台受験シリーズ)

難関大突破新漢文問題集 (駿台受験シリーズ)

なんなら受験生の頃に使っていた問題集だし、実家を漁ったらもう一冊出てくる気もしますが、さすがにこの本のためだけに実家に帰るのもアレだし今のご時世都道府県をまたいだ移動もしたくないし、新品でもう一冊購入しました。受験生の頃の記憶がほとんどないのでこの本についてのコメントは差し控えておきます(ある程度解いたら記事は書くかもしれませんが)。

最後に

 教材とコメントだけ並べて「学び始める」などという記事を書くのは絵に描いた餅そのものという感じもしますが、まあこうでもしないと記事なんて増えないので許してください。9月中には文法書の句形パートだけは目を通して、中身をきちんと覚えないまでもとりあえずリファレンスとして利用できる程度に頭に入れたいと思っています。放送大学における単位の取得はそれほど大きな目的というわけではありませんが、せっかく払った授業料がもったいないので努力はしていこうと思います。それではみなさんおやすみなさい。

*1:同じことは古文の文法書にも言えると思います。文法を体系的にきっちり説明したテキストがほとんど見つけられない……

*2:センサー地学!!お前のことやぞ!!見ているか啓林館!!!!

*3:私は、教科書やテキストに関していえば"無難な"という形容は最高の誉め言葉であると考えています。